THE LAST DESTINY 第十四話 ガルガテス ライアス達はフィレーネ山に着くと思わず溜息をついた。想像以上の魔気が立ちこめている。 「これはひどいな………。こんな魔気の中じゃ魔物の気配がつかめない」 オーラテインも先ほどから輝き続けている。 「まあ気が進まないけど、行きましょ。いつまでもこんな所にいるわけには行かないわ」 ティリアはフィレーネ山に足を踏み入れる。その時、何か不快な感覚に襲われた。 ライアスがティリアの様子を不思議に思い、問いかける。 「どうした?」 ティリアは首を振った後に自信のないように言った。 「誰かに………見られているような気が………」 「それは俺も感じてる………まるでこの山、その物が魔物みたいだ………」 二人は気を取り直して進んでいく。周りにある木という木は枯れていて草も何もない。 魔族が目覚める前はまだ緑があったと思うと、凄まじいを通り越した変わり様だ。しばらく歩いていると不意にオーラテインの光が強まった。 「来るぞ!」 ライアスが言った瞬間、道の上の方から5体のレッサーデーモンが滑り降りてきた。ライアス達はその場から身をかわす。 「早速本番って訳ね」 ティリアは剣を抜いて構える。その剣は淡い光を放ち、見るからに切れ味の良い、かなりの剣のようだ。自分の方に降りてきたレッサーデーモンを一刀の下に切り捨てる。 「さあ! かかってきなさい。身の程を教えてあげるわ!!」 ティリアの声に答えたのかどうなのか、更に何体ものレッサーデーモンが現れる。だがその間に二人は最初の5体を倒している。現れるたびに切り倒していくが、一向に数が減る気配がない。 「これじゃあきりがない。ティリア! 俺に捕まれ」 ライアスはティリアを側に来させると精神を集中し始めた。そして、 「風よ!」 そう叫んだ瞬間、ライアスとティリアの周りに風の結界が生まれる。 「いけぇ!」 ライアスは風の結界を操作して道を一気に飛び去った。なおも上からレッサーデーモンが降りてくるが全て結界にはじき飛ばされていく。 「すっごーい、ライアス!」 ティリアは感嘆の声を上げる。次々とレッサーデーモンをなぎ倒し、とうとう群を振り切ると結界を解除する。 「ここまで来たらもうしばらくは来ないだろう」 ライアスはオーラテインを手にしたまま歩みを進め始める。ティリアもあわてて追っていった。 しばらく歩くと、とうとうオーリアー帝国の領が見える位置まで来た。 「やっとオーリアーね」 ティリアは嬉しそうに歩みを早めようとした瞬間、ライアスはいきなりティリアの手を掴むと後ろに引っ張る。 「ちょっ………」 ティリアが抗議の声を上げようとした時、閃光が二人の前を過ぎる。そして通った後の地面は深く抉れていた。 「どうやら一筋縄では………」 「いかないようね………」 ライアス達が視線を向けると、その先には魔物が立っていた。ドラゴンを小型化したような体型で体長は2メートル程、巨大な牙と爪。目は真紅に染まっている。しかし普通の魔物と違うのは放たれている魔気がかなり強いという点である。 「よお、お前がオーラテインの戦士かい?」 見た目とは裏腹に軽い口調で話しかけてくる。 「ああ………」 ライアスが少し対応に困ったような声で言うと、それを察したのかその魔物は自分から話し始めた。 「俺の名はガルガテス。『八武衆』の一人………と言えば分かるかな? こんな姿をしているが間違いなくズレイス達の仲間だぜ」 「へえ………魔族っていうのは姿自由に変えられるわけ?」 ティリアが質問するとガルガテスは特に嫌がる様子もなく答える。 「魔族ってぇのはもともと魔気が集まった物なんだ。実体を持たなきゃいろいろ困るんでね、好き勝手な格好をしていいんだが人間の格好が一番扱いやすいんでね。まねしているわけさ」 「じゃあ何故、お前はそんな姿を?」 「俺の武器はこの体だからな。攻撃範囲の広いこの姿の方が都合がいいのさ」 ライアスは話しを続ける。だが、決してただ話をしているのではなかった。その間に攻撃を仕掛ける機会をうかがっていたのだ。しかしガルガテスには全く隙がない。 (こいつ………かなりできる………) ライアスの焦りを見透かすかのようにガルガテスは身構える。 「話はここまでだ。冥土の土産には充分だろ?」 ガルガテスのからかうような口調に答えたのはライアスではなくティリアだった。 「私たちは死なないわ! 身の程を教えてあげる!!」 ティリアは剣を抜き放って身構える。ライアスはそんなティリアを見て何かほっとしたような気分になる。 「そうだな………」 ライアスはオーラテインをガルガテスに突きつける。 「俺はこんな所で止まっているわけにはいかないんだ」 「それじゃあ………いくぞ!」 ガルガテスが言うとライアスとティリアは一斉にガルガテスの両端に分かれる。 「そんなことで俺の攻撃から逃げ切れると思っているのか!!」 ガルガテスは口から強烈な光線をライアスに向けて吐き出した。ライアスがそれ避けるとその後ろにあった大岩に光線が当たり、次の瞬間には粉々に吹き飛んでいた。 「なんだとっ!?」 思わず驚きの声を上げるライアス。 「ふふふ………どう………」 ガルガテスは突如ライアスと反対の向きを向く。ちょうどティリアがガルガテスに向けて飛び込んでくる。 「この距離なら!!」 ティリアの突進に、しかしガルガテスは余裕を崩さない。そしてティリアの剣が届くぎりぎりの所まで来たとき、ガルガテスは吼えた。 「バースト・レイ!!」 ガルガウの目から赤い光が迸る。 「!!」 ティリアは間一髪、それを躱す。バースト・レイが当たった地面は深く、熔けたように抉れている。ガルガテスはすぐに二人を視界に入れることができる位置に移動する。 「おれはよぉ、『八武衆』でも攻撃力だけは最強なんだぜ。他のも見せてやるよ」 ガルガテスはそう言うと体を少し前に屈ませる。そして精神を集中し始めた。 「このっ!?」 ティリアがガルガテスに向かって行こうとする。 「止めるんだティリア! 何をしてくるか分からない!」 ライアスはティリアを止めるが、ティリアは目に見えて焦っている。 「でも、このままじゃ危ないのは変わらないわよ!!」 「何もしないとは言っていない」 ティリアは不思議そうにライアスを見ている前でライアスはオーラテインを振る。見る見るうちに現れた光の球がライアスの周りを覆う。 「これならどうだ! 閃光烈弾!!」 ライアスの周りの光の球が一斉にガルガテスに向かう。だがその刹那、ライアスは言いしれぬ悪寒を感じ取っていた。 「ティリア!!」 ライアスはティリアの近くに寄る。 光の球がガルガテスに直撃する瞬間、ガルガテスの体が光った。 「バースト・バズーカ!!」 「風よ!!」 ライアスとガルガテスの声が、そして周りを包む爆音と吹き荒れる風の音が重なった。 |