届かない思い

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「あたしの家、とってもゴージャスなのよ」

 カズミは後ろを歩くアキラへと語る。

 その声音には完全なる優越感。

 アキラへと自慢したくてしょうがない。

 高貴な生まれであるカズミだったが、仲間たちの尊敬――特にお気に入りの召使カオルのそれを集めるのはいつも、一般民のアキラだった。

 だからこそどこかで格の違いを見せたかった。

「さ、ついたわ」

 犬小屋の前で優越感に浸るカズミに気づかず、明は薫と共に彼女の鎖を付け替えた。


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