宇宙より突如襲来した『ドクソー星人』と呼ばれる宇宙人達の手により、地球は、とい うか日本は微妙にビンチに陥った！ 子供達が親に向かって「お母さん達はどうやって生まれたの？」とか「僕はお父さんと お母さんの夜の生活の結果生まれたの？」などと微妙に答えずらい質問をするようになる など、いまいちどう対処したらいいか分からない被害を与えていたのだ！ そこで立ち上がったのは日本が誇る最強の戦士達！ 心の中に真っ赤に燃える、五つの正義の魂よ！ 今、とどろけ！！ 『王道戦隊！ キングロード！！』 「第十話・愛ゆえに」 「みんな！ また『ドクソー星人』が現れたぞ！！」 司令官である石島剛三が部下である五人の戦士達に収集をかける。 集まってきたのは男四人に女一人。 見るからに暑苦しい顔をした男に、彼とは対照的にやけにすました顔をして、口元には 微妙な笑みを浮かべている男。 あとは太り気味の男と背が小さい男。 紅一点はすらりとした肢体に背中まである黒髪。しかし、戦士の眼を持った女性だった。 「『ドクソー星人』は近所の公園を荒らしまわって子供達を遊べなくしているらしい。そ うして子供達の心を荒らし、日本社会を根底から崩そうとしている！」 「相変わらず今までに無い攻撃をしてきやがる！」 そう言って怒りを露にしたのは暑苦しい男。拳を握って目の前で震えさせていた。 「キングロード、出動！」 『はい！』 五人の声が唱和して、足並みを揃えてその場から消えていった。 「頼むぞ……みんな……」 石島は腕を後ろで組み、皆の無事を祈っていた。 五人が現場に到着するとそこには『ドクソー星人』の戦闘員が二十体ほどうごめいてい た。それぞれブランコに乗っていたりぐるぐる回るジャングルジムを回しつつ乗りつつし ていたり、しまいにはラジオ体操をしていた。 これでは確かに子供が遊ぶスペースが無い。 「よし！ 皆いくぞ！」 暑苦しい男――キングレッド・豪が叫び、突撃する。その後ろで「了解！」と皆が叫ん で一緒に突撃する。 変身は戦闘員相手にはしない。 まずレッド・豪が出会い頭に戦闘員の顔面を強打。一撃で砂場へと沈める。その後を追 ってきたブラック・隆が「ふっ」と不適に笑いながら得意の足技で押し寄せてきた戦闘員 達を左右に蹴り分けた。 戦闘員達はブランコに絡まったりジャングルジムに絡まったりして動けなくなる。 ピンク・伊織は戦闘には不向きであるはずのミニスカート姿だったが、スカートの中味 を惜しげもなく見せながら地に戦闘員達を静めている。全日本空手チャンプの実力である。 デブとちび……もとい、イエロー・大作とグリーン・栄太はそれぞれの体格をいかした ボディープレスと前転アタックにより、他の三人によって倒された戦闘員に止めを刺して いた。 「ふふ！ 現れたな『キングロード』！」 「お、お前は！」 普段はクールなナイスガイである隆も、声の主の姿を見て驚きを隠せなかった。 それは相手の大ボスである『オリ・ジナール』の姿を見たからだ。『ドクソー星人』が 日本にちょっかいを出し始めてわずか十回。 まさかそんな回数でいきなりラスボスが現れるとは夢にも思わない。 「いきなりラスボスかよ！ スライム出せよスライム！」 実はゲーマーなイエロー・大作が某大作ＲＰＧの雑魚キャラの名前を叫ぶ。しかし『オ リ・ジナール』は腕組をし、高笑いをしながら言い返す。 「独創性があるだろう？ これこそ、我ら『ドクソー星人』の真骨頂よ！ 貴様らなど私 の剣の錆にしてくれる」 『オリ・ジナール』は自分の身の丈ほどもある剣を出現させて、キングロード達へと向け た。と、そこでピンクが対抗するように『オリ・ジナール』に向けて指を突きつける。 「何が独創性よ！ あなた達のやっていることは、独創性じゃない！ 奇をてらっている だけよ！」 「な……なにぃ！！」 今まで自信たっぷりだった『オリ・ジナール』の顔に汗が浮かぶ。ピンクは何故か足を 振り上げてパンチラサービスをしてから言葉を続けた。 「それに、そうやって腕組みをして高笑いなんて、まさに王道の悪役よ！」 「――おのれ！ 今回はこれで見逃してやる！ 次こそはお前達の命日だ！！」 一気に言い放ち、『オリ・ジナール』は姿を消した。まさに煙のように消え去ったのだ。 それまで台詞が無かったグリーンがぼそりと呟く。 「消え方も王道だよ」 こうして今日も地球の、というか日本の平和は守られた！ だが『ドクソー星人』の攻撃が収まったわけではない。 頑張れ僕らのキングロード！ 負けるな僕らのキングロード！ 王道戦隊！ キングロード！！ 『完』 |