++文章修行家さんに40の短文描写お題++(紅月赤哉風味)

+目次+

 00. お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。

 01. 告白
 02. 
 03. 卒業
 04. 
 05. 学ぶ
 06. 電車
 07. ペット
 08. 
 09. おとな
 10. 食事
 11. 
 12. 
 13. 女と女
 14. 手紙
 15. 信仰
 16. 遊び
 17. 初体験
 18. 仕事
 19. 化粧
 20. 怒り
 21. 神秘
 22. 
 23. 彼と彼女
 24. 悲しみ
 25. 
 26. 
 27. 芝居
 28. 
 29. 感謝
 30. イベント
 31. やわらかさ
 32. 痛み
 33. 好き
 34. 今昔(いまむかし)
 35. 渇き
 36. 浪漫
 37. 季節
 38. 別れ
 39. 
 40. 贈り物


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 たまにネタ。メインはシリアスに行きます! ファイト自分!





 01. 告白  【64文字】 

 星空に向けていた視線を彼に戻す。
 心臓の鼓動も、静謐な空気に吸い込まれていく。
 必要なのは切り出す勇気。
 流れた星と共に、声が流れた。




 02.   【61文字】

 胸に突き刺さった棘が身体を突き抜ける。
 しかし、何よりも痛いのは向けられた信頼の瞳だ。
 紡がれた空洞の響きが、虚しく反響する。




 03. 卒業  【62文字】

 胸の内に生まれる切なさを堪える。
 もう君に会ってはならない。
 愛しいけど、離れなければいけない。
 背中にかすかに触れる、君の幻掌。




 04.   【62文字】

 流れる景色は時の流れと費やした距離を俺に伝える。
 目的地へ進むバスにはもう俺ひとり。
 ため息と、呟き。
 空虚な財布を、靜かに握る。




 05. 学ぶ  【58文字】

 チョークの音。私の鼓動。
 あなたの背中で開かれる演奏会。
 ねえ、数式の解き方よりも、あなたの心への触れ方を教えて欲しい。




 06. 電車  【65文字】

 隣の女の子の頭が視界に入ってくる。
 運転手が下手だからか、急ブレーキで俺の身体に体重がかかった。
 甘い香りと彼女の照れた顔が心に残る。




 07. ペット  【64文字】

 布団の中でタローの頭を撫でてやると、甘い声で気持ちよさそうに鳴いた。
 このまま相手をしたいけど時間もない。
 もうすぐ二人とも学校だ。




 08.   【61文字】

 気づくと頬に触れる指先。
 神が定めたルールに従い、私の身体は反応する。
 意識と無意識の間。
 目の前の切ない瞳に、指が頬を掻いた。




 09. おとな  【63文字】

 一歩踏み出すと、そこは白い海原。
 垂れ落ちた赤は海を彩る唯一の異色。
 刻まれた跡は激しき生命の余韻。
 甦る記憶に少女は顔を赤らめる。




 10. 食事  【65文字】

 絶え間なく動く口。
 滴り落ちる液体。
 砕かれる音と引きちぎる音。
 欲を満たすためだけに、男は吼える。
 人だった物が虚ろな視線を向けている。




 11.   【60文字】

 一度開けば、そこからは様々な物が溢れてきていた。
 文字の羅列からの贈られる宝物。
 人それぞれの心に、それぞれの宝が刻まれる。




 12.   【63文字】

 ぼんやりと白い物が浮かぶ。
 千切れ、途切れていた物が徐々に一つになる。
 ぼやけていた輪郭が明確になり、一つの形に決まる。
 それは――




 13. 女と女  【62文字】

 過去から傍にいてくれた彼女が離れる時、胸の奥から電流が駆け巡る。
 自分が繋いでいた掌が、自分が繋ぎたかった掌と重なり、心疼く。




 14. 手紙  【64文字】

「元気ですか?」「体壊してない?」「私は気にせず頑張って」
 激励の言葉。伝えたい思い。
 だが本当の気持ちは、空いた行間へ込められる。




 15. 信仰  【61文字】

   ふと立ち止まり、見回してみる。
 何度探そうと分かるのは、自分にある喪失感だけ。
 何もかも零れ落ちた手が暗闇から、何かを掴んだ。




 16. 遊び  【55文字】

 一つ二つ三つ四つ五つ。
 泣いたら負けだよ我慢比べ。もう一方もほら一つ二つ……。
 ――次は足の指をボキボキしましょ。



 17. 初体験  【64文字】

 痛みが下から上に私を貫く。
 涙がこぼれて息が詰まった私に語られる優しい言葉と吐息。
 火照り、疼く身体が動かされ、私は天に昇っていく。




 18. 仕事  【46文字】

 金、絆、喜び、嘆き、理想、挫折、努力、怠惰、信頼、裏切り、生、死……その箱から、生まれた物。
 



 19. 化粧  【65文字】

 粉が舞い、匂いが香る。
 幻想を追い求め、現実を隠す。
 だが、日々の中で幻想は落ち逝き、真実の姿をさらけ出す。
 残るのは、手についた肌色。




 20. 怒り  【65文字】

 震える拳。刻まれる爪跡。
 浮かび上がりし血管に脈打つ鼓動。
 体温の上昇と揺らめく殺意。
 逆立つ髪の毛を掠めるように、震える拳は放たれた。




 21. 神秘  【64文字】

 きらきらと輝く粒子が飛び回る。
 まるでそれ自体から光が漏れ出しているかのように、私の身体が照らされる。
 震えと共に、幸福が生まれた。




 22.   【57文字】

 聞こえる。聞かされる。囁かれる。叫ばれる。
 煽てられ、蔑まれ、憎まれ、感謝されて。
 それら全ての先にあるものが、真実。




 23. 彼と彼女  【64文字】

 幼い時から影が並んでいて、誰よりも傍にいて。
 楽しい事も悲しいことも嬉しいことも辛いことも、共に分かち合ってきた。
 そんな友達二人。




 24. 悲しみ  【64文字】

 満たされた虚無。虚無に刺さる刺。痛みと共に、刺から広がる赤い染み。虚無を覆う真紅。
 そして、紅き海から自らを喰らう魔物が生まれる。




 25.   【64文字】

 一滴の雫が落ち、同心円状に波紋が広がっていく。
 揺らめく液面はその後も落ちる雫によって徐々にその大きさを増し、やがて世界に満ちる。




 26.   【50文字】

 すらりと身体から抜き放たれた刃に、彩られる赤。
 抜け落ちていく力。口の中で錆が満ちる。
 閉じていく、光。
 



 27. 芝居  【65文字】

 外された仮面の下にある僕の顔に、彼女は顔を引きつらせる。
 僕はそのまま言葉を紡ぎ、去る彼女の背中を見送る。
 更に仮面を剥ぎ取りながら。




 28.    【63文字】

 内から衝動が溢れる。
 破裂寸前の器から舞い上がり、意識の奥まで焦がしていく。
 蓋を開け、獲物へと衝動を吐き出す瞬間を思い、震える。




 29. 感謝   【64文字】

 誰もいない家。開ける扉。机の上のケーキ。
 描かれた祝いの言葉。立てられた十六本の蝋燭。
 置かれたマッチ。緩む頬。灯る火。囁く言葉。




 30. イベント  【64文字】

 目覚めは月の光だ。カーテンの隙間から差し込む夜の証だ。
 眠気もなくすんなり起き上がり、僕は家を出る。
 夜の散歩。ささやかな楽しみへ。




 31. やわらかさ  【63文字】

 ゆっくりと唇を触れさせる。そのままそこは深く沈みこみ、伝わってくる弾力に僕は震える。
 僕を押し返してくる相手の頬に、僕は微笑む。




 32. 痛み  【63文字】

 握られた包丁。
 赤く染まる刃。
 目の前の男。
 倒れ伏し、粘りある赤き海に浮かぶ男。
 舌を出す。
 口元を舐める。
 錆びた鉄の味。
 流れる、涙。




 33. 好き  【64文字】

 気づけば向かう視線は彼女の顔。
 艶やかな髪。空気を伝う香り。
 開かれた瞳は光の粒が舞い、放出された光は彼の胸を貫き、焦がしていった。




 34. 今昔(いまむかし)   【64文字】

 目を閉じると浮かぶ、雪に埋もれ、しかし生の輝きを放っていた場所。
 闇の水面にぽつりと落ちる粉雪が広げる波紋。
 開かれた瞳が見る故郷。



 35. 渇き  【65文字】

 手を伸ばせば届きそうで。
 でも必ず届かない。
 もう一歩進めば捕まえられるのに、君の背中は近くて遠い。
 求めても求めても。掴むことはない。
 



 36. 浪漫  【64文字】

 逆巻き、立ち上る風に乗り、ふわっと空へと旅立とう。
 差し込む陽光を背に受け、自在に空を舞う風羽のように。
 風の翼で、飛んでいきたい。




 37. 季節  【60文字】

 まどろみのカーテンを開く、朝の光。
 冬の終わりを告げるように、太陽には力が戻る。
 ベッドから抜け出し、新たな時間が始まった。




 38. 別れ  【65文字】

 ゆっくりと窓を開けると、花に埋もれた祖母の顔が見えた。
 少し開いた瞼から覗く、濁った白目。
 もう意思のない、瞳。ゆっくりと窓を閉じる。




 39.   【64文字】

 もう一回。もう一回。もう一回。もう一回。
 何度も何度も、僕は求める。
 感触を。興奮を。
 痛む拳で殴りつけ、伝わる快楽を。
 もっと、欲しい。




 40. 贈り物  【62文字】

 雪が舞い、白く染まる世界で繋がる二人の手。
 少しだけ強く握り、伝わる温もりと共に笑みが漏れる。
「一緒にいて」と、言葉を紡いだ。






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