『明日の声が聞こえる』





 待ち行く人の波が流れていた ただ僕はそこに佇んでいた



 明日への予感を感じさせずに 今いる場所を確信できずに



 何を追っているのだろう 周りに目もくれずに



 未来なんて見えないものを 追って 躓いて また起き上がって探して





 僕の歩いてきた道には何があったか



 皆を後ろに置いたまま 前にすすんだ僕に



 何が残っているのだろうか 何を残していると言えるのか





 僕の耳には聞こえない 明日への扉を叩く音が



 今をがむしゃらに進む僕に 未来への音など聞こえない



 暑さに身を焼き朽ち果てても 寒さに身を凍えさせても



 僕には今しかありえない 今さえも見えていない



 僕は何を求めればいいの 何を目指せばいいの



 暗闇の先には何かがあるの 





「耳を澄ませてごらん」



 誰かがいう声に僕は耳を澄ます



 暗闇を見ずに 更に眼を閉じて 



 聞こえてくる ささやかな言葉 





 僕の耳に聞こえてくる 明日から向かってくる言葉が



「明日はここにある 君の進む道の先にある」



 暑さに身を焼き朽ち果てても 寒さに身を凍えさせても



 たとえ見えなくてもある 今の先にきっとある



 僕は求めていいの 「明日」という不確かな物を



 暗闇の先にあると信じていいの





 信じていいよと 誰かが言った



 明日の声が 聞こえる



 僕の先に 道がある