『蒼空の中で』



 この地上全ての物を見ていたくなくて



 遥かに高い空を見上げた



 雲一つない蒼空の中で 一羽の鳥が舞っていた



 立ち止まっていた僕は その場で空を見上げている僕は



 体を震わせて泣いていたんだ



 僕を見ながら通り過ぎていく人たち どうして泣いているのか分からずに 



 過ぎていく彼等は 人々の中に何を見ているのだろうか





 僕が見ているのは 何もない空を生き生きと舞う鳥



 彼は一人で広大な蒼空を舞う



 ただ一人で 息が詰まりそうになるほどの人込みの中で



 孤独に生きる僕と何が違うのだろうか



  

 何も違わないのだろう



 もう一人の僕が言う



 前を向くともう一人の僕が言う



 だけど人はここにいると





 彼は飛び続けるのだろう 自分の目的地を見つけるまで



 僕も歩き続けよう たった一人の誰かを探しに