「ポケットの中の戦争」

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凄まじく久しぶりのレビューです。
今回のお題は「ポケットの中の戦争」
機動戦士ガンダムシリーズで最高傑作と呼ばれてるっぽい作品です。


時はファーストガンダムの時代。
ガンダムの主人公達が戦っている場所から離れた中立コロニーでの話です。
主人公は少年・アルフレッド。ニックネームはアル。
平和に退屈し、モビルスーツの激しい戦闘に心を躍らせる少年。
彼はコロニーに襲撃してきたモビルスーツ・ザクに乗っていたパイロット・バーニィとひょんな事から出会います。
幼い少年には敵、味方の概念はなく、本当の軍人だという事で何とかバーニィと仲良くなりたいと思います。


その後、バーニィはアルの住むコロニーに搬入されてきたガンダムの新型を破壊するために
再び訪れます。そこでアルと再会し、一緒にガンダム破壊を実行しようという事になってしまいます。
最初は監視役としてアルについていたバーニィでしたが、徐々に友情が芽生えていきます。
アルの知り合いである連邦の士官・クリスともほのかな恋愛感情が芽生えます。


しかしそんな穏やかな日々も作戦の決行によって崩れます。
コロニーを破壊しつつ、ガンダムを破壊しようとするバーニィの仲間。
そしてガンダムによってバーニィ以外の隊員は死亡します。
ガンダムに乗っていたのはクリスでした。
この作戦によってコロニーは何百人もの人が死に、クリスもバーニィも心に傷を負うのです。
また、今まで戦争はかっこいいものだと思っていたアルも戦争がどんなに悲惨かという事を知るのです。


クリスマスまでにガンダムを破壊しなければ、ジオン公国はコロニーごと核弾頭で破壊するという事をバーニィ達は知ります。
最初は諦めて逃げようとしたバーニィでしたが、最後まで戦うことを決意。
最初に壊れたザクを修理してガンダムに勝負を挑むのです。
そして当日。
核弾頭が積まれた戦艦が連邦に投降した事を知り、アルはバーニィを止めようと必死で走ります。
戦場に着き、必死になって声を張り上げるアル。
「もう闘わなくていいんだ!」
お互いのモビルスーツに誰が乗っているのかも分からずに戦うクリスとバーニィ。
そして最後に、ザクのヒートホークはガンダムの首を切り、ガンダムのビームサーベルはザクのコックピットを貫きます。
バーニィは死に、クリスは重傷になりました。
戦いが終わり、ガンダムのコックピットから運び出される意識が無いクリスを見て茫然自失のアル。
コロニーを救うためにガンダムを破壊しようとしたバーニィ。
コロニーを守るためにザクを破壊しようとしたクリス。
正義も、敵も、味方も無かった少年の「ポケットの中の戦争」はこうして終わりを告げたのです。
戦いの前に渡されたビデオレターにはバーニィからのメッセージがありました。
「相手を恨まないでくれ。皆、自分のやるべきだと思った事をやっただけなんだ」


月日が少しだけ流れて新学期が始まり、壊された校舎の前で校長が演説をします。
その言葉にアルは泣きだしてしまい、級友が励まします。
「また戦争は起こるって」
「今度はもっとど派手だぜ」
アルはただ泣きました。涙が枯れるまで。
バーニィの事を思って。


結局、この作品は少年の成長劇でした。
戦争をテレビゲームと同じに考えて、かっこいいものだと思っていた少年。
自分の親しい人同士が戦争の中で、知らぬ事とはいえ殺しあうという事は少年には充分すぎるほどの衝撃を与えました。
本当の戦争を体験し、大事な人を奪われる事の苦しみ、悲しみを少年は知りました。
この作品を見終わって、確かに最高傑作だなぁと思いました。
特に最後に級友が言う言葉が、アルがこの体験を通して少しだけ大人になった事をうまく表現していたと思います。


最後にこの作中のこの言葉で閉めたいと思います。

「正しい事なんて、何処にも無い。自分ができる事をするしかないんだわ」
by クリスティーナ・マッケンジー


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思わず最後のシーンには泣いてしまいました………
この頃、すぐに泣きますね。