「鳥人戦隊ジェットマン」

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スーパー戦隊シリーズ。
それはゴレンジャーを祖とする子供達に愛される戦隊物の総称である。
冬休み、夏休みにコナン劇場が始まる前までは戦隊物の再放送があり、楽しみにしたものであった。
子供に分かりやすく完全懲悪なシステム。
一緒に見ている大人(男)に退屈させないように女性キャラには必ずパンチラがある(笑)
という家族の団欒には丁度いい番組であろうと思う。
しかし、昨今のこう言った作品は簡単な正義と悪の戦い、と言った物に留まらずにシナリオ重視の傾向が強まっているようだ。
はっきり言ってしまうと子供に見せるだけの番組ではない。


最近の作品は特にシナリオ重視の傾向だが、過去にシナリオを重視した作品があった。
それが「鳥人戦隊ジェットマン」である。
この作品は異常にシナリオが凝っている。
凝っていると言うよりも、番組を間違っているとしか思えない。


あらすじは基本に忠実。
「次元戦団バイラム」という奴等から地球の平和を守る五人の戦士達の物語。
しかしその内容はここ数年の戦隊物も唖然とするほどの物なのだ。
まず、戦隊物ではほぼ話題にされない「恋愛」の要素が入っている。
ジェットマンは五人中二人、ピンクとブルーが女性だが、ピンクはレッドが好きである。
だがピンクを好きなのはブラックであり、レッドはと言うとあまり相手にしていない。
レッドは話が進むと、なんと敵の女性幹部との間に恋愛感情が働くのだ。
敵の幹部といっても、その女性はバイラムが最初に攻めてきた時に死んだと思われていたレッドの恋人だったので
一応普通の三角関係ということになる。
まあでも凄い三角関係だ。
というか、戦わないと地球を侵略されると言うのになにをやっているのでしょうか?


最初はレッド以外は皆戦闘に関しては初心者。
イエローは畑を耕している田舎者だし、ピンクはお金持ちの令嬢。ブルーは金にがめつい女子高生。
ブラックはハスラーやらサックス奏者やらいまいち職業がわからない若者という面々。
唯一ブラックがまだ闘えるかんじです。
レッドと上官は必死になって仲間を集めて訓練させてバイラムに対抗できるようにと頑張ります。
でもチーム内ですでにブラックはピンクを狙ってるし、ピンクはレッドにホの字だしイエローはピンクが好き
だけど恋愛対象外だしと本当に大丈夫か? です。
まあそれでも何とかバイラムを倒す事に成功するみたいです。


圧巻なのが最終回。
最後の戦いに勝利し、平和が戻った地球。
レッドと恋愛関係にあった敵女性幹部はもちろん死んでます。
そしてレッドはピンクの想いに応えて結婚する事に。ブラックはふられて、それでも二人を応援します。
しかしブラックは結婚式会場に向かう途中、ひったくりにあった人を助けようと犯人を追いかけて
犯人が持っていたナイフに刺されます。
傷つきながらも結婚式会場へと向かうブラック。
近くの公園のベンチに腰をおろし、会場から出てくる二人を穏やかに眺めながら静かに息を引き取るのです。
なんか「続・星の金貨」もこんな感じだったような………。
何故、戦隊物でここまでやらなくてはならないのか果てしなく謎です。
この最終回が印象深いのはその直前にもあります。
戦隊物の中でおそらくもっとも壮絶な戦いだったとされる巨大ロボット最終決戦。
敵ラスボスとの戦いで三体あった巨大ロボのうち二つが大破。
残る一つも片腕になって全身ボロボロという壮絶さ。
おそらくロボットの戦いでも、シナリオでも後々にいろいろと影響を与えた作品だと思います。
「ここまでする必要はない」


はっきり言って視聴者である子供よりも付き添ってみている親の方が痛いです。
是非、ビデオ屋で借りて見る事を進めます。
本当にこういう戦隊物は子供っぽい、の一言で一蹴するには不足なほどドラマです。
月9は無理でも金曜八時は可能かもしれません(笑)


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今、日曜八時にやっている「忍風戦隊ハリケンジャー」は二十一作目。
前作「百獣戦隊ガオレンジャー」は二十周年記念作品だったが、明らかにその一つ前のほうがよかった。
ハリケンジャーもいまいちだし、おそらくこれから不況の如くクオリティが下がっていくのだろう。
残念、残念。