「キャプ翼」

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レビュー第六回目にして「B・S・DHouse」一周年記念のレビューはこれです!
漫画界に高橋陽一という名を刻む事となった伝説の作品。
「サッカーは格闘技」「ボールは友達」「厳密には反則だが審判の笛はならず」 など数々の世迷言を送り出し、
善良なサッカー少年がプレイを真似してどれだけ怪我をしたか心配させ夢を与えたほどの作品。
「キャプテン翼」である。


ストーリーは簡単。
サッカーの申し子(笑)である大空翼が世界一のサッカープレイヤーを目指してライバル達と熱い戦いを展開する漫画。
僕と同年代の人なら、「サッカー版ドラゴンボール」と言えば大体いいっぽい。
この作品、年を追うたびにエスカレートしていってどんどん普通のサッカーから離れていった。
こう言うという事は、まだ最初のほうはまともだったのだ。
最初はまだ、小学生のくせにオーバーヘッドが打てるというほどしか不思議さはない。
それがたいした意味をなさない事こそ、この漫画の真骨頂だが。
まあ、あまりに現実離れしすぎてギャグにしか映らないというのが本音。
というわけで今回は作中に出てくるトンデモ技に焦点を当ててみる。


まずキャプ翼を代表する三大必殺技を紹介しよう。
まず一つ目は「三角飛び」
キャプ翼を代表する「空手かませ犬キーパー」若島津。
彼は実家の空手道場の技をサッカーに応用して「手刀デフェンス」「あびせ蹴り」などを使うが代表的な物が
「三角飛び」である。
内容はシュートが逆をつかれた時にゴールポストを蹴り、その反動で反対方向へと飛ぶというもの。
よほど普通に飛べと誰もが思うが、この技が彼のアイデンティティなのでこれをなくすと存在価値が無くなる。
ちなみにゴールポストを蹴るのは紳士じゃないという理由で反則であるが、この世界では反則はないようなもの
なので意味が無い。
小・中学生編では見た目が派手なので結構いい味だ。


次の技は「ツインシュート」
初出は小学生編最終戦。
主人公・翼と、数ヶ月しか一緒にプレイしてないのに十年来の友みたいな感じのエセ親友・岬が打ったシュート。
ボールを同じぐらいのキック力のプレイヤーが同時に蹴る事で特殊な回転を生み出し、凄いブレを生み出す。
キーパーはどういう軌道でボールが来るか見えないという効果がある。
思えばこれが出た事でこの作品のトンデモ漫画化が決定したようなものだなぁ。
ほんと、これがでるまでは
「自分の身長ぐらいの跳躍力」「オーバーヘッド」
ぐらいしかなかったしなぁ。
という先駆的作品。
これ以降は結構要所要所で使われている。しかし日本チームだけで。


三大技最後にして最狂の技
その名も
「スカイラブ・ハリケーン」
ただ聞いただけではサッカーの技? と思うような名前だがサッカーの技です。
どんな技かというと
@:まず第三者がボールを高く蹴り上げます。
A:双子のうち片方がフィールドに背中から滑ります。
B:足を向けている片割れに向かって走りこんでジャンプ。
C:下になっているほうとジャンプするほうのタイミングを合わせて蹴り上げ、飛び上がる。
D:上空でヘディング。
という技。
………なんだよそれ?
おそらく全国のサッカー少年が真似して足を痛めたりしたことでしょう。
はっきりいって静止している状態でもできるような技ではありません。
何せ、自分と同じくらいの体重を持つ相手を蹴り上げるのですから。
想像してみただけで無理です。
分かりやすいのはおんぶですよ。
おんぶするだけならまだしもそれを少なくとも普通にジャンプするくらいの高さまで足で蹴り上げるなんて、ねぇ………。


とまあこんな技。
まだまだ七人に分裂するフェイントとか明らかに頭の位置にスライディングと称してドロップキックを入れてくるとか
ありますが、まあ紹介してたらきりが無いです。実際に読んでください。


あとこの漫画はキック力が並大抵のものではないんです。
何せボールがゴールポストに当たって破裂するのは日常茶飯事。
コンクリートの壁にボールがめり込んだりしたりするし。
しまいには大木を真っ二つにする程の威力を持つシュートまでできます。
そんなシュートをどてっぱらに喰らっても大丈夫やら、パシッと取ってしまったりとなんとまあな面子ばかりです。
普通のサッカーで誰がボールを破裂させれるっちゅうんや。


最後にお気に入りにキャラを一人。
日向小次郎君です。
彼はキャプ翼の日本代表では翼君に次いでNo2です。
燃えるような闘志。まさに猛虎。
と言ったかっこいいんだか恥ずかしいんだか分からない字をつけられるほどの闘争心の持ち主です。
小学生のくせに野太い声(『ガンダム』のブライト艦長・『聖闘士聖矢』の紫龍)だし。
小学生の時点でサッカーをしながらバイトを幾つも掛け持ち、一家の財政を支えるという環境で
腐らずに、その強靭な意志で翼君達を苦しめました。
最初にコンクリートにボールをめり込ませたのも彼です。
そんな彼も中学にサッカー特待生で入った事でハングリー精神が薄れます。
こんなひとコマをどうぞ。


全国大会出場を決めた日向君の中学。
しかし日向君は心臓病をおして出場した、相手キャプテン三杉君の心臓を気遣ってしまいピンチを招く。
何とか勝利したが、そこに小学校時代の恩師が来て試合内容に不満を爆発。
「今のお前は牙の抜け落ちた檻の中の虎よ!」
「一度グラウンドにたったなら、優しさなど捨てろ! 持つのは厳しさだけでいい!!」
「昔のお前なら相手の心臓を蹴破ってでもゴールを目指したはずだ!!」

その言葉と共に描かれる「心臓を蹴破る日向君の絵」
まあ、どう贔屓目に見ても犯罪です。
恩師は殺人扶助です。
なにせサッカーボール越しになら蹴りを入れても膝蹴りを入れても構わない風潮があるこの漫画。
この程度の事も容認されるのでしょう。


このひとコマを語っただけでこの漫画の凄さが分かると思います。
何が凄いって、
「明らかに駄目な事を良く見せる」
という誰か政治家とかもやってそうな事を作者が書いている事です。
今は2002年ワールドカップを目指してレベルアップを図る翼君たちが描かれていますが、
多分書いてる間にワールドカップは終わるでしょう。


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それにしてもキャプ翼と書いて読み方が「きゃぷつば」なんだよなぁ。
まあそれだけだけど。
ドラゴンボールと並んできっと、20世紀最高の迷作に入るだろうな。