「銀河戦国群雄伝ライ」

=======================================================

今回は僕が最も影響を受けた漫画の一つ(使いまわし変?)である作品を取り上げてみました。
昨年完結したこの作品は単行本全27巻。足掛け12年の大作です。


ストーリーは簡単に言い表してしまえば「和風・銀河英雄伝説」ですね。
銀河を統一していた国家が崩壊してから行く年月、戦国の世が続いていく中で一人の英雄が登場します。
それが主人公・竜我雷。
感じ的には中国の南北朝辺りがベースっぽい。
銀河の北部、北天に建国された国家「五丈国」の一般兵だった雷はその武勇と運でどんどん出世。
最後には銀河をも統一。
その戦国絵巻がこの作品です。


登場する人物達も魅力的です。
主人公の他にも充分主役を張れるような人々。
サブキャラがしっかりしているのも良い作品の条件ですね。


感想としては、最後の辺りは少々つまらなかったりします。
序盤、中盤で雷達を苦しめてきた英傑達が、流れに沿って死んでいくので少々間延びした感じがありました。
後は主要人物が意外と死なない事ですね。
作者もあとがきで言っていましたが、愛着が沸いて非情に徹し切れなかった部分があったと。
戦国の世ではどんな英傑もちょっとした事で死んでしまう。
その部分がもっと出せればもっと作品の評価が上がったのではないでしょうか。


どうせなので僕的名場面ベスト3を載せてみました。


第3位・「雷・慟哭」
雷が敵国「南天」を攻めている間に属国が謀反を起こして王都を攻撃します。
そして宿将孟閣。そして愛妻・紫紋を雷は失ってしまうのです。

「もうどこにもゆかぬ。ずっと傍にいてやる」
「雷………、あなたは天下人になろうとしています。女の許に停まる事は許されません」
弱々しい声音でも、いつものように振舞おうとする紫紋に、雷も会話をあわせざるを得ません。
「戦の無い平和な世界。それがあなたと私が追い求めた夢なのだから」
その会話を最後に雷は退出。
そして紫紋は第二妃の麗羅に雷を任せると言って命を終えるのでした。

物語の最初、雷は紫紋の父親を殺している。
父を殺された娘と父を殺した男。
戦国の世ならではの出会いをした二人を引き裂いたのもまた、戦国の世だったのです。
雷はしばらく涙を見せなかったが、船に戻って軍師であり親友の師真の前で涙を流すのでした。


第2位・「師弟対決」
雷が天へと駆け上る機会だった内乱。
偽帝討伐に出た雷の前に立ち塞がった最大の敵は雷を見出した恩師・狼刃だった。

荒れ狂う炎の中で対峙する二人。
刃が幾度となくかわされ、最後に相手を貫いた刃は雷のものだった。

「強くなったな、雷。見事だ」
「狼刃元帥………」
「戦え! 戦って戦って、お前の夢を果たせ!」

その言葉を最後に狼刃は後ろに見える灼熱の星へと身を投げるのです。
雷は涙を流しながらうめき、そして呟きます。
「俺の夢がなんだってんだ。俺一人生き残って果たす夢なんざ………」
この後、雷はまた何人もの仲間を失いますが、自分の信念を貫き、天下統一するのです。


第1位・「独眼竜正宗、陣没」
おそらくこの作品の中の人物にパラメータをつけたら総合一位を得ていたであろう最高の女傑・正宗。
一度軍を動かせば銀河の英傑全てが恐れた女。
しかし巨大化していく羅候と雷に対抗すべく日夜動いていたために体を壊し、死の病にかかります。
それでも正宗は自分の仕える国を守るために最後の出撃をしたのです。

対決する雷と正宗。
お互いの旗艦で砲撃戦を展開し、最後には突進。
雷の旗艦が正宗のそれを破壊します。
乗り込んだ雷は正宗と邂逅。そして正宗は力尽き、倒れます。

「俺はお前にいろいろ学びたかった。教えをこいたかったんだぞ!!」
「栄・枯・盛・衰。この四文字を胸に刻むがいい」
正宗は雷と自分の側近に星を見せてくれと頼む。
星空を眺めながら正宗は笑みを浮かべた。
「きれいだ。この星空は昔と変わらずあくまでも蒼く美しい。もうすぐわたしはあそこに行けるのだ」
流れる流星。
視線を戻した雷が見たものは物言わぬ正宗の姿だった………。


とまあ、戦国を舞台としているのでどうしても死に様が鮮明なんですよ。
他にも普通に対決で名場面もありますよ。
いつもより少し長いレビューでした。


=======================================================

ちなみに自分のお気に入りは軍師・師真。
とりあえず知性は一番でめったな失敗をしない天才。
しかもアニメの時の声が矢尾一樹。ダ・サイダーですな(笑)