「何か」

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感動の涙ってやっぱりいいですね。
そんなわけで昔感じた事を少し書こうと思います。


皆さんは歌を聴いて泣いた事がありますか？
こう書くからにはもちろん僕にはあります。一度だけ。
どうして泣いたのか今だに分からない。
今聴いてもそのアーティストの曲の、他の良い曲とどう違うかなんて分からないのに、やっぱり一番好き。
何の予備知識もなくてある曲を聴いて、泣いた事がありますか？



僕が泣いた曲、それはゴスペラーズの「ＮＯ　ＭＯＲＥ　ＴＥＡＲＳ」です。
三枚目のアルバムや、つい最近出たベスト盤にも収録されています。
何人かには言っていて知っている人は知っているのですが、返事はいつも「なんで泣くの？」です。
その当時の僕の「何か」に反応したんでしょう。今の僕には分かりません。



僕がゴスペラーズに会ったのは高校一年の後半でした。
小学一年からずっとバドミントンを続けていて、高校の途中から合唱部に入った僕は早く皆と仲良くなりたかったので
その手段を探していました。
その時、大体皆が「ゴスペラーズ」を好きだということが分かったのです。
まあ先輩から伝わってみんな知っているという感じだったんですけど。
それで僕はゴスペラーズの「終わらない世界」を買ってみんなと聴いたりして仲間と溶け込みました。
その時はほぼアカペラの曲というのは始めて触れたので珍しさと意外と好きなメロディだった事で
「ふーん、意外と良いなぁ」と思った程度でした。



その認識が変わったのはしばらくして三枚目のアルバム「ＭＯ’ＢＥＡＴ」を借りた時でした。
家に帰って早速ＣＤプレイヤーにかけて聴き、七曲目に差し掛かると、僕は一瞬で引き込まれたのです。
そしてサビに入って………涙が出ました。
自分でも「何だこれ？　何だこれ！？」と声に出して動揺しながらなおも聴きます。
終わった後、何度もその曲だけ聴きなおしましたよ。その度にその時は泣きました。
全く意味が分からない。
初めて聴いた曲で、全然ゴスペラーズを知らないのにその曲だけ、泣いてしまった。
その時から僕はゴスペラーズが凄く好きになったのです。



僕が一緒に活動しているグループ内ではあまりハモらなくて難しいゴスペラーズの曲は不評です（笑）
僕がゴスペラーズからアカペラに入ったって言うと未確認飛行物体を見たような顔でリーダーが僕を見ます（笑）
確かにゴスペラーズは最近出てきたアカペラグループと比べるとハモってません。
最近出てきた「ＢＡＢＹ　ＢＯＯ」というグループ、かなりハモリがうまくて、曲が良くて僕はかなり好きです。
でもやっぱりゴスペラーズが僕の中では一番なんですよね。
それは「ハモり」「声」「Ｇｒｏｏｖｅ」がすぐれている事以上の「何か」があるからだと思います。
僕の中の感性を刺激する「何か」
けして他の人には分からない「何か」が。
今、新しくアカペラを始める人で、どれだけの人が「歌その物」に感動したんだろう？
歌を歌っている人の中で、どれだけの人が「歌その物」に泣いたことがあるのだろう？
歌を聴いて涙を流したという出来事は僕の音楽活動の根幹にあります。
曲名も、歌っている人の名前も顔も形も体型も、どの時代の歌なのかも全く分からない歌をただ聴いただけで感動する。涙を流す。
観客全員じゃなくてもいい。観客の一人だけでもいい。
たった一人の感性に引っ掛かる「何か」を伝えられるような歌を一度で良いから歌ってみたい。凄まじく生意気ですけど（汗）
もちろんアマチュアですから、自分の本業をおろそかには出来ませんが、本業の次に僕は何を置いても歌う事を置いていきます。
喉が掠れて声が出なくなる歳までも………。