「実習の喜劇」


面白おかしいコラムを目指して書きなぐります。

今回のテーマ、「実習の喜劇」です。
つい最近行った実習で起こった出来事を書きたいと思います。
つーか、凄い人がいました。




点呼依存症




聞いた事ありませんそんなの。
でも実際そうとしか思えない事態が発生しました。
詳しくはこれから!




去る八月二十六日。
俺等は某漁村へと実習に出かけました。
俺の学科は漁船など海に関するものなので今回は漁業の様子を生で見せてもらうために企画されたのです。
そうは言っても二泊三日。
十月にある十二日間のうち半分を船の上で過ごす乗船実習よりもかなり楽な物。
皆は出発前にお菓子や酒を買ってくるなどかなり修学旅行な気分。
なにしろきついのは漁船に乗るために午前三時に起きる事だけであって、後は適当に施設の人の話を聞いて感想を書くことだけ。
久しぶりに他の友達と会ってほのぼのムード。
しかし出発時間になって、後の騒動を予感させる事態が起こったのです。


I教官「おい、S(生徒)はどうした?」


引率教官四人衆の一人、そして今回の主役であるI氏が既にバスの中でスタンバっている俺達に聞いてきた。


「Sの電話番号知ってる奴、あいつに連絡とってくれ。いないぞ」


そう。
生徒の一人がいないのだ。
そもそもバスに乗る前にI氏が点呼を取ると十人以上がいない。
大方は忘れていたり、確信犯で遅刻したり、寝坊したりとつわものが揃っている我が学科。
それでも徐々に集まって最後の一人であるSを待つだけとなったのだ。
だがいつまで経っても来る気配が無い。


「しょうがない。行くか」


というわけで最後までSは来る事なくバスは発進した。
後のネタの気配を放ちながら………。




最初についたのは昆布館と呼ばれる、文字通り昆布についていろいろと展示、または売っている場所だ。

そこから、始まった。



I教官「おい、点呼するぞ!」






「は?」






そりゃあ、驚いたりします。
だって、バスに乗る前に点呼取ったんですよ!
それなのにどうしてバスから降りた後でも点呼をしなければいけないんですか?

昆布館には直通で行きました。

それなのにどうやってバスの中から消えるのですか!?




走行中のバスの窓から飛び出さない限り生徒は消えません。




I教官は俺達がバスから出た瞬間に消え失せる小学生以下な奴等とでも思っているのでしょうか?

高校の修学旅行のノリは徐々に小学生の臨海学校並みに下がり始めます。

昆布館を出た後にまた点呼をする。
まあ、これは当たり前だからいいですけど。

次に行った施設でもバスから降りたら点呼
最初の時は気にしなかった面々も徐々にこの点呼の多さが気になりだした。

そして………宿泊先へと着いた。


I教官「よーし、点呼するぞ!」

(またかよ)


ここまでで点呼はすでに六回目


思うに、二泊三日で行う点呼をすでにやったみたいな感じだ。


しかもこの教官はとんでもない事を言い出した。


I教官「施設の人や漁協の人に迷惑かけるなよ〜。お前達がどうなっても別にいいけど、他人に迷惑かけるな






こら!(怒)






先生………それは駄目ですよ。
確かにそれは真理ですが………言ってはいけないもんですよ!


周りからは聞こえるように「やばいだろ」との声も上がる始末。
後ろにいた教官陣も流石に危険だと思ったのか苦笑いを………。


そんな波乱と共に本番が幕を開けるのでした。







荷物を置いてから話を聞きに漁協本部へと。
話を聞いて一時間。
周りももうそろそろ聞く事もなくなり集中が切れてきた。

(もう終われ)

そんな空気を感じ取ったのか、講演者も疲れが見えていて切り上げようとしていた、その時!



I教官「みんな、聞く事ないかい? この機会に聴いておいた方がいいよ」



当然みんなはノーコメント。
もう帰りたいし、大体話聴いたよ。


I教官「ところで、〜はどうなんですか?」






何質問してんだゴルァアア!






講演者「あ、ああ………それは〜です」


講演者ももう終わるのかと思っていたのか少し反応が鈍い。
忙しい中来て頂いていると最初に言っていたのに、あんたが引きとめてどないすんねん!
しかも続けて質問し出したI教官。
ふと視線をめぐらせると他の教官は既に眠っている。
しかも最もまともそうなM教官なんか立ったまま寝ている。
なんて、漢だ。

そのままI教官は三つほど違う質問をした後にようやく終えた。
俺達生徒の意見が一つにまとまったのはこの時だった。






I教官は駄目だろ






ちなみに今回も点呼は入る前と後。
廊下は一本道なのに、後にも点呼とるとは。
宿泊施設の前に帰ってもまた点呼。
漁協本部から宿泊施設まで五百メートルほどの距離。
その程度の距離を移動するだけでうちらは誰かいなくなると思われているのでしょうか?


ここで、俺は二つの可能性を見た。


よほど、俺達が子供だと思われている場合。


そしてI教官が点呼好きだという可能性だ!


前者ならまあ、仕方が無いだろう。
だがもし後者なら。


研究室とかで院生を並ばせて番号を言わせているのだろうか?






なんて滑稽な(笑)






ようやく食事の時間になると、今度は全員揃うまで食べさせないと言い出した。
完璧に小学生の臨海学校だ。
またはそれ以下の可能性も出てきた。



突込みどころ満載の初日は飯を食べるとほぼ終結した。
次の日の午前三時に起きて漁船に乗るために寝るのを午後九時に設定されたところ以外は。
寝れんっちゅうねん。



次の日も相変わらず点呼だ。
しかも帰ってきてからの朝の食事が幕の内弁当
流石に朝からあぶらっこいものばっかり食べれないだろ。

朝ご飯を食べてから昼まで何も無い。
みんなは朝早く起きたので睡眠を稼ぐために眠った。
そして十二時、昼ご飯






幕の内弁当だった





朝飯を食べて何もしていないのに、しかもどうしてまた同じものが出るのか?
一体どういう食生活を送らせる気だ?


昼飯後、また講義や見学。
そしてI教官はまた点呼に質問。



夜飯は質素。

普通は昼飯に出るようなものが夕飯に出てくるとは………。





こなきゃよかった………





そんなこんなで、実習は最終日を迎えたのだ。
そこで、最後の事件が起こった。





最終日は当然、施設掃除。
教官達の意思疎通が全くなされていなく、すれ違いばかり。
生徒は右往左往しながらもなんとか掃除を終えて施設玄関前に集まった。




I教官「これといった事件もなくて安心しました………」

そりゃあ心配したろ。
生徒がいなくなるんじゃないかって心配をな。
何しろここまでで点呼は十五回を数えている。

話が続く中、俺の前にいた友人が急にきょろきょろしだした。
顔には苦笑いが張り付いている。


「どうした?」



「あのな、Iの………社会の窓が開いている







なにぃ!?






視線を向けると確かに開いていた。






全開で。






いくら安心したとはいえ、安心しすぎだろ!?







少ないけど女子もいるんだぞ!!!






小波のように広がる事実。
それを知らずに話を続けるI教官





全ての生徒に伝わり、みんなの好奇の視線を浴びながらまだ気付かないI教官
そして遂に一人の生徒が近づき、耳打ちで伝えた。





「………まじ!?」




教官は窓を閉じると苦笑いを浮かべながらいろいろと弁解します。

それも空しく響くだけ………。


結局、強引にごまかしてバスに移動し、また点呼を取りつつ最後の仕事を終えたのでした。
最後に誰かが言いました。














あんたの股間が事件だ!!