「星屑の記憶」

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レビュー十二回は「起動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー」です。
この前に雑文庫に置いた「ポケットの中の戦争」と並んでガンダムシリーズでは人気の高い作品です。

作品内容はというと、ガンダム本編である初代ガンダムとZガンダムの間の物語。
初代ガンダムの物語が終わって三年、世界は平和を取り戻したかのように見えた。
しかし敵国ジオン軍残党は静かに決起の時を待っていたのです。
オーストラリア、トリントン基地に居た新米である主人公コウ・ウラキは月のアナハイムから来た
新型ガンダムGb01、Gb02と出会う。
ガンダムの内、Gb02には核ミサイルが積まれており、ジオン軍はそのガンダムを狙った。
ジオン軍少佐アナベル・ガトーは基地内に潜入。
Gb02を奪い、その場に居合わせたコウのGb01と戦闘。
簡単に退けてガンダムを奪取に成功する。
あまりに簡単にやられた事にコウは激しく傷つくのだった。


追撃を開始して何度も戦闘をするが、遂にはガトーらに宇宙に昇られる。
コウ達も新型戦艦アルビオンと共に宇宙に昇る事を決意する。
宇宙に昇っても繰り返されるジオン軍との戦闘。
その中でコウはパイロットとして急激に成長。
また、ガンダム設計者であるニナ・パープルトンとも仲を深めていく。
そして、遂にジオン軍の作戦が開始された。
作戦名を「星の屑」
その時、ソロモンと呼ばれた場所では連邦の式典が行われていた。
警備に過信して何も起こらないと決めていた連邦上層部は自分達が居る場所の裏側から来る
ガトーを見逃していた。
ガトーは居並ぶ連邦の戦艦の前に姿を現して叫ぶ。
「ソロモンよ、わたしは帰ってきた!!」
核バズーカのトリガーが引かれ、悪夢の閃光がその場を覆い尽くす。
核弾頭の力によって連邦の船は壊滅。
コウ達も防げなかった事にダメージを受けた。
しかし「星の屑」とはそれだけではなかった。
ソロモンでの惨状の影では無人のコロニーを移動させて地球へと落とす計画が進行していた。
そして作戦が実行され、コロニーが地球へと向かう。
いち早く裏を察知したアルビオンは自分達だけで阻止することを決意。
軍法違反と言われて拘束されそうになっても強引に突破。
コウは新型ガンダムGb03を手に入れて落下地点へと向かった。
そこで開始される最後の戦い。
しかしコウ達は結局、コロニー落下の阻止限界点までに止める事が出来なかった。
勝利を確信するガトー。
しかしジオン軍の中に裏切り者が見つかる。
尚且つ連邦からはコロニーを破壊できるソーラーシステムが現れ、一気に窮地に立たされたガトー。
ジオン軍残党の総帥デラーズはガトーに「星の屑」成就を託して裏切り者の弾丸に倒れた。
降伏を宣言するジオン軍残党の中でガトーは一人、コロニーを落とすために奮闘を開始。
ソーラーシステムの一部を破壊してコロニーを完全に破壊されることを阻止する。
コロニー落としを阻止できなかったコウは落ちていくコロニーの傍でガトーと最後の戦いを開始。
しかし決着がつく前にソーラーシステム第二射が行われ、その余波で二人は離れる。
コウはそのままガトーを見つけられずアルビオンに帰還。
ガトーは最後まで連邦と戦いつづけて戦死するのだった。


全てが終わり、コウ達アルビオンクルーは軍事裁判を受けた。
この事件に関する全ての資料は抹消され、事実はもみ消された。
ある者は戦線から外され、ある者は子飼いの組織に吸収される。
誰にも知られる事なくアルビオン艦長は死刑となった。
コウも地方に飛ばされていたが、数年を経てまたオーストラリア基地に帰る。
そこで待っていたニナ。
二人の間にもう言葉はいらなかった。


この作品の人気が高いのはひとえに、「ガンダム」では敵だったジオン軍を中心に描かれていることです。
また作品を通して見て、連邦の裏の顔が続々出てきました。
ガンダムという作品が完全懲悪ではないという典型的な作品だったと思います。
あとガトー少佐の果てしなきかっこよさ。
おそらく人気は歴代ガンダムの中でも確実に上位に入ってくるでしょう。
愛国精神剥き出しで、難しい日本語を使いまくります。
そのまさに漢らしさに惚れますが、おそらく標準語が英語の中でどうやって言っているのか気になります。


唯一惜しい所があるんです。
それは正に最後のほうなんですが、この作品の価値をそこで落としているような事件が。
実はヒロインであるニナ・パープルトンはガトーとも付き合っていたことがあるんです。
コロニーを破壊するために単身乗り込んだコウの前に現れるガトー。
なんとか拳銃を向けて追い詰めたんですが、そこに現れたのがニナ。
そしてあろうことかガトーを庇うんです。
混乱するコウ。
たいした説明無しで「しょうがないのよ」と答えるニナ。
そしてガトーと共にコロニーから脱出します。
その場に残されたコウはやりきれなさに咆哮します。
このエピソードがあったために最後は
「一人の女に振り回される二人の男の戦い」になってしまったのです。
一気に小さくなってしまってやりきれません………。


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ちなみにニナさんはガンダム好きの中で悪女No.2に認定されています(笑)