「スパイラル〜推理の絆〜」

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第十一回はこの作品です。
月刊少年ガンガンで連載を開始して一気に看板漫画へと躍進した推理漫画です。
厳密に言うと推理漫画とは少し違います。
いわゆる「フーダニット」物よりも物語重視な物です。


月臣学園一年生・鳴海歩は天才刑事である鳴海清隆の弟である。
二年前に意味深な言葉を残して蒸発してから清隆の妻である鳴海まどかと同居しながら暮らしている。
ある日、歩は昼休みを屋上で過ごしてから授業に向かおうとした。
そこで生徒の落下事件が発生。
その場に歩しか居なかった事から犯人扱いされてしまう。
しかしその謎を歩は兄譲りの頭脳で謎を解く。
その時まどかは犯人の女性徒に聞くのだった。
「ブレード・チルドレンって、何?」
その言葉は清隆が残した言葉。
女生徒はその場を離れたが、何とすぐに殺されてしまう。
そこから歩は「ブレード・チルドレン」の事件に関わる事になるのである。
呪われた子供「ブレード・チルドレン」
彼等は次々と人を殺し、まどかが清隆へと迫る手がかりが次々と消えていく。
逆に歩には自ら接近し、推理合戦を挑んでくる。
歩の知力を命と天秤にかけて襲い掛かってくる「ブレード・チルドレン」
歩はなんとか勝利しながら兄、清隆へと近づくために進んでいくのだった。


歩は普通の漫画誌の主人公らしく弱い。
パラメータ自体はかなり高いのだが一つだけ、意志の強さだけは無いのだ。
それは彼が兄を見つづけてきた事によって劣等感の塊になってしまったから。
自分の好きな事は全て兄も好き。
そして全ては兄の方へと向かい、歩には残らない。
自分の全てを否定されて歩は抵抗など無駄だという考えを持ってしまったのだ。
この「スパイラル」という作品は二つの目的があると思う。
一つは物語全体の主題、「ブレード・チルドレン」を救う事。
必ず人を殺してしまう、とされる「ブレード・チルドレン」の呪いを解放するための物語。
そして、歩の成長。
兄の幻影を振り払うための戦い。
少年漫画の王道・主人公の成長が作品の鍵を握っているので普通に楽しめます。


推理漫画としてみると、実はたいした事は無いんですよね。
「金田一少年の事件簿」「名探偵コナン」という今や漫画界を代表する推理漫画を読みなれてる人には物足りないでしょう。
でも、その魅力的なキャラクター陣はけして負けていません。
まあキャラクターまで負けていたらもう勝負しようが無いですけど(汗)
先がどうなるか予想が出来ないシナリオは僕が好きな漫画、アニメの中では上位です。
現在、物語はかなり佳境に入っているようです。
歩は「運命の分岐点」へと立つ事は出来るのか?
「ブレード・チルドレン」とは結局何なのか?
そして彼等全員は救われるのか?
これからの展開に期待です。


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歩の劣等感って結構わかる人は多いんではないでしょうか?
別に兄弟ではなくても、趣味が同じような友達がいて、友達のほうが自分よりもそれがうまく出来る。
分かりやすい所ならば料理とか、スポーツなど。
おそらく友達ならば「まあ、すごいな」と思ってけっこう諦められますが、歩は兄だったのです。
最も身近で、なおかつ兄がいなければその道でトップに立てる実力がなまじあったばかりに苦しんでいます。
ありすぎる才能っていうのもやはり大変ですね。