『幸福を奪われた男』



 彰は信じられない物を見つけたように固まっていた。

 眼前に広がる光景は彼を絶望に落とすには充分であり、顔を青ざめさせている。

 彼はよろける身体をなんとか支えながら手近な椅子に座り、顔面を手で覆った。

「なんてことをしてくれたんだよ……」

 彰は相手へと呪詛の言葉を浮かべようとしたが寝起きのために頭が回らない。相手はそ んな彰に言い放った。

「次の日のカレーって何故か凄く美味しいのよね」


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