『初めての出産』



彼女を友人から引き取ってから、何年が過ぎただろう。

生まれてすぐの時から大事に育ててきて、とうとう第一子を産むことになった。

その瞬間を、家族と共に見守る。

彼女は体を震わせて、自分に襲い掛かってくる痛みに耐えているようだった。

いつしか私は、自分の手を強く握り締めている……。

やがて、その時はやってきた。

「クケケ」

彼女がその場からどけると、一つ玉子があった。

「これで今後はおいしい目玉焼きが作れるぞ」



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