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「桃華堂の窓際にて」

相沢武
(以下“武”)
「FlyUp! 第二部、終わりましたー!」
『お疲れ様ー!』ぱちぱちぱちぱちぱち…………
早坂由紀子
(以下“早”)
「第一部から何年経ったのか分からないわね」
刈田篤
(以下“刈”)
「うおお……」
小島正志
(以下“小”)
「どした? 刈田」
吉田香介
(以下“吉”)
「なんか随分不服そうだけど」
「そりゃそうだろうが。俺の晴れ姿、三日目まるまる飛んでたんだぞ……」
「まあまあ。とりあえずは、第二部のプチ打ち上げってことで自己紹介からいこうぜ。吉田香介です」
「小島正志だ」
「早坂由紀子」
「刈田篤だくそぉおお!」
「そして相沢武。第二部でメインで場面があった五人でお送りします」
「いや、それにしても長かった。何話だっけ? 170話?」
「そうそう。いわゆる一年生編が54話だろ? そこから二年生の10ヶ月をえーと……」
「116話。二倍以上よね。長くなったわ……」
「第一部の完結が2007年で、今が2011年だから、現実時間はもう何年過ぎてるんだ……」
「ここ、現実時間とかそんな会話いいのか?」
「いいんじゃないか? まあ、ひとまず感想言っていこうぜ」
「賛成。座談会だしね。じゃあ、刈田はどうだった?」
「俺か……俺としては、この一年は飛躍の年だったな。全道にも行って強い奴にも勝ったし。だが、せっかくの試合が一つ削られてしまった。お前らが試合やってる時のだ! うぐおおお!」
「暑苦しいのは放っておいて、次行くか」
「こら、小島! 俺をないがしろにするのか!」
「そりゃお前が弱いからだろ。実力があれば注目される。なければ振り落とされる。それが常だ」
「小島ってなんで同い年なのにそんなストイックなんだ……」
「強くて周りに相手がいないと自然とこうなるんだぜ。実力主義っつーか。な、早坂」
「そうね。でも私は第二部はとても楽しかった。やっぱり実力が高い人達と一緒にいると、ね」
「そうなんだよ! 俺も周り下手だったから、こういう奴らと一緒にいれたって貴重な経験だった」
「二人の間に奇妙な連帯感が」
「吉田がナレーションっぽくなってる」
「そういや、早坂は相沢に告白したのか?」
武・早 (げほげほごほ!)
「え、早坂は相沢が好きだったのか? でも確か彼女いるはず……きさまぁああ! 若葉さんを紹介しろ!」
「別に妹は今関係ないだろ! そして別に紹介してないわけじゃないだろうし」
「そうだ。今はお前の好みよりも二人がどうなったかだ」
「確かに」
「ちょっと! 吉田まで!」
「だってな。相沢の朴念仁っぷりには俺もイライラしてたんだ。早坂と相沢がどうなるか気になって」
「聞こえない! 私、聞こえない!」
(ここで何かしゃべったらとばっちり受けそうだ)
「なんかそのあたりの話も気になるが。俺としては今後も気になる。あんな化け物達に勝てるのか俺ら」
「確かに。淺川とか強すぎるな……小島どうだった?」
「はっ! 次は負けないさ。次やる時は……絶対に……」
(お、話の流れがずれたな)
「早坂はどうさ。君長って一年生とやって、次は勝てそう?」
「聞こえない! って……ああ、君長さんか。確かに強いけど、もう少しやりようあったかなと思うのよね。どうすればいいかは、まだ考え中だけど」
「考えてる間に相沢に告白したほうがいいぞ」
「聞こえない! このバカ!」
(早坂……楽しそうだな。やっぱりだいぶ変わったよな)
「皆とじゃれあう早坂を見て、武の心の中で彼女の存在が大きくなっていくのだった」
「おいこら、香介! 変なモノローグ入れんな!」
「お前……かっこよさなら杉田とかいうあいつのほうがかっこいいのに、なぜそんなモテるんだ。俺にも若葉さん紹介しろ」
「紹介とか!」
「第二部はほとんどバドミントンしてたからな。終盤にお前らの間が進展あったかどうかって気になるんだよな。正ヒロインがあまり出ない今がチャンスだろうに」
「そうそう。中学生なのに何、彼女出来て! しかも落ち着いてるわけだ! もっと略奪しろ!」
「もっと波乱があってもいいよな」
「え、えええ。えーと……」
「(ミシッとテーブルを軋ませて)いい加減にしなさい」
小・刈・吉 『はい』
(やっぱり怖い)「まあ、何はともあれ。第二部が終わったことだし、次は第三部。いよいよ全道から全国って感じかな」
「まとめに入ったか……まあいいけど。第二部はバドミントンばかりって書いたけど、第三部ももっとバドミントンじゃないか?」
「これで最後ってだけあって、いろいろと皆にけじめがつく気もするな。いつまでも中学生やってられないし。あと一年したら高校に進むんだから」
「そうだな。バドミントンにかけた青春か……もっといろいろしたいとか思わない分、やっぱりバドミントン馬鹿なんだろうな、俺」
「そりゃ皆、同じだな」
「確かに」
「これからもずっと競ってくライバルとして、よろしく頼むわ」
「おう」
「もう締めに入るわよ。いいわね?」
「……はい」
「FlyUp!第二部を終えて、次はいよいよ第三部。と、その前に多少のインターバルが挟まります。全道を経験した私達。二年生の最後に待つのは学年別と、第一回の都道府県別団体戦。もっともっと大変な展開が待ってるだろうけど、皆負けずに頑張ろうね」
「もちろん! 早坂が相沢を好きでも俺は諦めない!」
「俺も今度こそ優勝狙うぞ!」
「やってやるさ!」
「今度こそ俺の存在を刻み付ける!」
『では、FlyUp! 第三部でお会いしましょう! ここまでお読みいただきありがとうございました!』

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