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「桃華堂の窓際にて」

相沢武
(以下“武”)
「FlyUp!第一部完結お疲れ様ー!」
『お疲れ様ー!』ぱちぱちぱちぱちぱち…………
川崎由奈
(以下“由”)
「本当、長いようであっという間だったね。一年間」
早坂由紀子
(以下“早”)
「しかもほとんど相沢の成長劇なのよね。私、負けちゃうし」
橋本直樹
(以下“橋”)
「俺なんて見せ場あったけど結局、入賞しなかったし」
相沢若葉
(以下“若”)
「私なんて描写ほとんど無かった〜。武だけずーるーいー!」
「主人公なんだからある意味当たり前だろ! まあ、こんな騒がしい中だけど、FlyUp!第一部完結記念座談会を開催します。メンバーは俺、相沢武と」
「川崎由奈です」
「早坂由紀子」
「橋本直樹だ!」
「相沢若葉だよ!」
「町内会バドミントンで一緒だった五人でお送りします」
「武、いつの間にか司会者だね」
「この面子なら早坂が仕切ったほうがいいと思うんだけど……。未来の部長候補だし」
「嫌よ。面倒だし」
「早坂は現在隆盛のツンデレだからなー。相沢もあきら痛て!?」
「ふざけたこと言わないで」
「二人とも落ち着いて? 折角一年を振り返るんだし」
「そうそう。とりあえず一年お疲れ様。来年も頑張ろうって座談会なんだし。じゃあ、ひとりずつどこが印象的だったか言ってみるか。じゃあ橋本」
「いきなり俺かよ! んー、やっぱり俺の洞察力が際立った学年別での大会だな。あの後からは相沢オンリーだったけど」
「地味に小島君にやられてたんだよね、シングルス」
「そうなんだよ。洞察力とかそんなレベル超えてたね。弱点とか見つけられなかったし」
「あいつは強いからなぁ……来年もきっと俺達の前に立ちふさがるだろうな」
「武も頑張ってね。これから何度も試合するんだろうし。あ、早さんって小島君に告白されてたよね。なんかそこまで嫌そうじゃなかったけどどうなの?」
「ノーコメント」
「んー、じゃあ後でこっそりと」
「それより続きは? 由奈は一年で一番印象に残ったのはどこ? やっぱり最後?」
「えー。私はねぇ。武が小山君と試合したところかな」
「おお、一番初めか。そういや小山、この前会ったら新人戦優勝したって言ってたな。やっぱりテニスプレイヤーなんだなと思ったよ」
「あの時の相沢って凄くヘタレよね」
「確かに今思い返すと恥ずかしすぎる……。でも、あれがなかったら続かなかったんじゃないかと思うよ、中学でのバドミントン」
「そこまでのもんだった?」
「なんていうか、あそこで由奈と早坂に背中押してもらったからやれたってこともあるんだよな。多分負けてたら恥ずかしすぎてもう部活辞めるくらいいったかも」
「武はありそうだねー。今もそうだけどたまになんで? って思うことに気が弱くなるし」
「そうよねー」
「そのヘタレが無ければまだいいのに」
「何がいいの?」
「なんでもないわよ。じゃあ次は若葉」
(いつの間にか仕切ってる……血が騒ぐのかな)
「んー、そうだなー。私の試合……って言いたいけどほとんど書かれてないわよね」
「私も試合の描写はない、かな」
「武は主人公だから仕方が無いとして、で早さんも武と絡むから仕方が無いとして。はっしーが私たちより目立ってるというのはちょっと不満」
「俺のせいじゃないもんな。てか、勝たないから目立たないんだよー」
「ムカ! 言ってくれるじゃないのー!」
「若葉も落ち着けよ。強くなってるんだし、今後はもっと出られるよ」
「そう言って励ます武の心はしかし、お前らにもう出番はないとほくそ笑むのだった」
「変なナレーションを勝手につけるな!」
「先進まないから次行くよ。次は私、か。私は相沢との初めての試合かな」
「実は試合を描いたのじゃ吉田・小島戦より長いんだよな」
「あれで私も強くなれた。目標が出来たしね。やっぱり身近に目指す人がいると練習しやすいわ」
「俺も吉田がいるからあいつのプレイ見たり真似したりで身についてる実感はあるね」
「そう考えるとお前ら二人ってお似合いかもなってててててて!?」
「橋本ぉお」
「頬ひっはるは! ひたひ!」
「本編が一段落した由奈っちは一味違うね。やっぱりあのラストの後から付き合ってるの?」
「え、えええ。えーと……」
「まーそれは第二部が始まったら分かるよ、うん」
「怪しい……まさかすでにキスとかまで行ったんじゃ。恋愛に目覚めて一気にタガが外れるってありそうだし」
「若葉!」
「もー止めてよ!」
「いいじゃない、減るもんじゃなし。まあいいや。じゃさ、最後に武は一年間でいつが一番印象に残った?」
「そう、だな。俺は刈田との試合だな。初めての体育館でのと、学年別と」
「二回目も惜しかったよなー。もう少しで勝てたのに」
「二回目は気迫で負けてたし。でも両方で小学生の時に届かなかった存在に認められたっていう実感を持てて。凄い嬉しかったんだ。これからもいいライバルとして何度も戦いそうだし」
「武達はライバルたくさんでいいな。私達はやっぱりこの話じゃサブキャラだから女子の試合とかってあまり描写されないし、ライバルとかもいなさそう」
「由奈っちには恋のライバルがたくさんでそうよねぇ。武がそこまで持てるとは思わないけど」
「もー、若ちゃん!」
「さ、言いたいことは言ったし、話が奇妙な流れにならないうちに終わろう」
「これからいいところだろうにー」
「やかましい。続けるとなんか微妙な話題にいきそうで嫌なの。と、そういうわけでFlyUp!は第一部を終えて、次は第二部が始まります。いよいよ学年の一番に立った俺が、今後どう戦っていくか」
「でも後輩も出来るし他の学校との関わりも強くなる。イベントも増えるだろうし、なかなか悩みは尽きないはず」
「武も後輩から告白されたり他校の生徒から誕生日プレゼントもらったりするんじゃない?」
「それはもうストーカーね……」
「今は分からないけど。きっといろんなことがあると思うだろうから、仲良くしていこうね」
「由奈が上手く締めたところで、皆一斉に!」
『では、FlyUp!第二部でお会いしましょう! ここまでお読みいただきありがとうございました!』

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