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● FlyHigh! --- あとがき ●

超長編「FlyUp!」のスピンオフ長編第一弾「FlyHigh!」完結しました。紅月赤哉です。

あとがき代わりに20の質問を答えさせていただきます。
http://akitaro.moo.jp/atogaki.htm

1   この小説を書き終えた、今現在の心境を一言で簡潔に言い表してください。

知美よくやったよ。お父さんは嬉しいよ(笑)


2   この小説を書く上で、一番書きやすかったところはどこですか?

実はどの場面も書きやすかったです。
この物語は本当に簡単で、知美の成長物語、であるのですが、超長編「FlyUp!」を書いていく中でやはり書かない部分ってのはあります。それが主人公の寺坂知美。彼女がどういう性格で、どういう悩みがあるかっていうのは固まっていましたから。あとはそれを解消するためのプロセスを考えればよかったので比較的ポンポンと進みました。


3   この小説を書く上で、一番苦労したところはどこですか?

スピンオフでも、本編を読まなくても大丈夫にしたかったので彼女達の背景の描写をどうしようかと悩みました。
バドミントンの描写はもっと丁寧にすればよかったかなぁとちょっと後悔です。ニュアンスで感じてもらうしかないなーと投げてしまった部分もありました。


4   ボツにしたタイトル、仮タイトル、執筆中のコードネームなどありましたら教えてください。

最初から変わっていませんでした。高く飛べ!って感じで、知美が飛翔するってイメージがありました。


5   タイトルの由来(意味)は何ですか?

4でも書きましたが、高く飛んでほしいってニュアンスを込めて付けました。

6   この小説を書き始めるきっかけはなんでしたか?

まずスピンオフというのに昔から憧れていて掌編でも長編のキャラ出して全く関係ない話書いたり、世界観リンクさせて別の長編に別の長編のキャラ出したりというのはしていました。
で、この作品を書こうと思った当時は超長編「FlyUp!」でも番外編としていくつか書いたりしていて、そろそろ長いのを書いてみたい、と思ったのでした。
その時に、オンライン小説書いてる知り合いのスピンオフで未来のこと書いてたりしたのを見て「時間軸ずれてていいじゃん」と吹っ切れたのでした。

7   この小説を書く上で、何か影響を受けたもの(他の作品や、他媒体の創作物など)はありますか?

6で書いたオンライン小説書きの人のスピンオフですね。
あとはバドミントン漫画「ガズリング」ですね。書いている時期にバドミントン漫画があるととても刺激されます。


8   これがあったから、この話がかけました!(これがなかったら、かけませんでした!)というものはありますか。

朝比奈美緒の存在の自分の中での変化ですね。
悪い言い方ですが彼女は最初、あくまでも知美が成長するために用意された後輩でした。本編にも全く出て来てないですし、FlyUp!の中では完全なオリジナルキャラです。
でも、書いていくうちに彼女に僕の中の血が通っていくのが感じられました。気分はダブルヒロインでした。


9   ボツにしたストーリー展開を教えてください。
10   プロット(思惑)どおりに進みましたか?

これは同時に。
実はこれも超長編になる予定でした。知美の話ではなくて「FlyUp!」で活躍している後輩達の一年間くらいの話。
でも、それだと2012年9月時点で超長編を三つ平行して書くとかいうとんでもない状況になりそうだったので、分割しました。
分割してプロットを練り直しましたが、実は展開通りに行けました。良かったです。


11   これが書きたくてこの話を書きました、という部分はどういうものですか?

知美の成長ですね。
型に囚われて動けなくなってしまったいい意味でも悪い意味でも優等生な知美が、周囲に支えられて考え方を変えていく。
相談は大事ですよってことですね。


12   一番こだわったところはどこですか?

ラストの朝比奈さんとの試合をする約束を取り付けるところから終わるまでの展開でしょうか。
まともにやっても勝てるわけがないのでどうやって勝たせるか。試合に持ち込ませるためにどう話を展開するか。どういうイベントがあればいいのか。逆算していきました。


13   一番好きなキャラクターと、一番嫌いなキャラクターを、理由つきで教えてください。

特に優劣付けられず、皆大好きです。嫌いな人もいないな。朝比奈さんは意地が悪いだけですから(笑)


14   実際にいたら嬉しいキャラクターと、実際にいたら厭なキャラクターを教えてください。

これも特にないですね。みんなと仲良くなりたい。でも、朝比奈さんは困ると思います。


15   この人にはこの言葉を言わせたかった!という台詞をキャラ別にどうぞ(実際に言わせていなくてもOK)。

寺坂知美
「結果を残した人達は、自分達で本当に考えていたもの。私が部長として考える部は、皆で一丸で考えて、成長していく部なんだ」

→実力を持てる人ってやっぱり勝手に成長していきますから。
 でも部活で大事なことってやっぱり知美が言っていることだと思うんです。
 なんで学校の部活でスポーツをするのか。勝ち負け以外の意味を考えています。


朝比奈美緒
「部活に行っても、強くなれないからです」
「でも、私は弱い人しかいない部は興味ないです。一年の子達も、私は練習相手になってもらってただけで別に上手くしようなんて思ってません。それも、そろそろ疲れてきました」
「先輩に教える義理はないです」

→最初は知美の引き立て役としてしか考えていなかったんですが、書いていくうちに愛着がほんと湧いてきました。
 彼女が強さを渇望する理由は考えてはいたんですが、作中で彼女を描いていくうちにその理由への想いとかがより鮮明に自分の中に固まりました。なので、この話では最後まで、ほんの少しだけデレるまではツンを通しました。


多向先生
「今、配ったのは退部届です」
「宮越さんも皆も、浅葉中バドミントン部では強くなれないから逃げてるんでしょ? 何とかしようとしないで。無理なんかして、遠くの総合体育館に行ったり、怪しまれないように丁寧にローテーションで部活に参加したり。欠席の理由を考えるのも大変だったでしょう? すっぱり、退部届を書いて辞めていいわよ。別にバドミントン部が困ってもあなた達には知ったことではないでしょ?」
「ただ、バドミントンがしたい。上手くなりたいなら別に部活をする必要はないわ。バドミントン部にいるなら、バドミントン部として強くなるために一緒に頑張っていかないと。それを放棄するんだからほら、早く書きなさい?」

→僕の中学時代のバドミントン部の副顧問がモチーフです。彼女はこんな強気じゃなかったですが。
 この人も本編には登場せずにこのスピンオフから登場した人物ですが、朝比奈さんと共に自分の中で化けた人物ですね。
 僕の「学校の部活」での考えを反映した人。個人で考えようとする朝比奈さんと対になった人でした。
 実際に退部届書かせたらモンスターペアレンツ来そうですけどね……。ちなみにこの時の彼女は知美の思った通り本気です。


16   この小説の登場人物たちを使って、別の話を書く予定はありますか?

このあとがきはサイト掲載に従って書いているのですが、この時点で三つ長編が書けています。5作目を書くかどうかはまだ分かりません。
ただ、長編じゃなくても書いていくと思います。



17   この小説の中でこの部分が一番会心の出来なのです! というシーン(か台詞)を抜粋してください。

個人的1位:相沢先輩と会ったところ。
それまでのというより、作品全体の中でここだけ全く異質な空気になるようにしてみました。恥らう描写も書いてて楽しかったです。

「あ、相沢先輩!?」
 すぐ傍に住んでいる一歳年上の男子。
 インターミドルが終わって引退した男子部の、そして町内会のサークルで小学生の時から一緒にバドミントンをしてきた男子。
 更には、知美の思い人でもある。
 驚きの声と共に高くブランコは上っていく。そこでスカートが風になびいていることに気づくと、知美は慌ててスカートを左手で押さえた。羞恥を感じつつもそう簡単には止まらないブランコに怒りも含め、脳内は完全に混乱していた。
(なんで!? なんで相沢先輩がここに!? スカート……中、見えた!? 見えてないよね! ブランコ早く止まって――!)
 こぐのを止めたことで徐々に勢いをなくしていくブランコ。知美は止めることに必死になり、無言でブランコの勢いを殺していく。その間、相沢はだまって知美を見ていた。その視線がまた知美の心をかき乱す。
 いつの頃からか恋心を抱いていた相手の視線は、知美にとっては薬でも毒でもある。嬉しいけれど恥ずかしく、辛いものだ。
 ようやくブランコが止まり、知美は嘆息した。心臓はブランコを止めるために四苦八苦しただけではなく、相沢の登場にも荒れている。更に相沢は止まったところを見計らって知美の隣のブランコに腰を下ろした。
(ひっ――!?)
 ブランコの間は知美の片腕を伸ばしたくらいの長さ。そんな距離に相沢が座ると自分の心臓の音まで聞こえるのではないかと錯覚する。
「ど、どうしたんですか? こんなところで」
 黙っていたら心臓が破裂しそうだと、知美はひとまず会話を開始する。話している間に多少落ち着くかもしれない。かつ、どうしてこのタイミングで会うのかという疑問もあった。
「別に。図書館で勉強してから、吉田の家でもう少し勉強した後に帰って、この時間だったんだ。そしたら寺坂がブランコこいでるから。裏に住んでるのに会うの久しぶりだなーっと思って」
 ダブルスのパートナーだった男の名前が出てきて、知美はただただ感心する。部活を引退した後でも勉強にバドミントンにと相沢はパートナーと共に頑張っている。第三者の名前が出てくると自然と落ち着いて、知美は気になったことを聞いてみた。
「……見えました?」
「え?」
「な、なんでもないです!」


もう一つ一位:VS朝比奈戦のラスト
絶望的な実力差の中でも想定通りの試合展開だった知美が、最後の最後になって初めて考えていなかったことをされて驚き、体が反応するシーン。
自分で勝とうと真剣に悩んできたことと、それまでの自分の経験が浮き出たシーンということでお気に入りです。


(ジャンピング――スマッシュ!?)
 今まで見せたことがないショット。
 通常のスマッシュより高い打点で打てることで角度や威力が増すが、体勢を保つのが難しく、打った後も隙が大きくなること。更には足への負荷がかかるため筋力が相当ないと諸刃の剣となる。男子が打っているのは見たことがあったが女子では初めてだった。それを朝比奈が出来るのか。
 知美も初めての情報に混乱しかける。
 だが知美はとっさに朝比奈の正面に移動してラケットを前に出していた。思考よりも先に動いた体。自分の体に宿る経験を信じて、しっかりと出す。
 結果、朝比奈のスマッシュは知美のラケットヘッドに捉えられて跳ね返っていた。スマッシュの威力を相殺し、更にふわりと返る。着地と、そこからのダッシュのタイミングが完全に遅れた朝比奈は落ちていくシャトルに近づくことさえも出来なかった。
「……ポイント。フィフティーントゥエルブ(15対12)。マッチウォンバイ、寺坂」



18   この小説で取り上げたテーマやアイデアに、もう一度別の形で挑戦してみたいですか?

結構、頻繁に挑戦しているので別の形でやりたいですね。


19   何か、これだけはしておきたい言い訳というのはありますか?(笑)

スピンオフなんです! 本編もよろしくお願いしますm(_ _)m

20   最後に一言どうぞ!


お読みいただきありがとうございました!
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